* I7の解釈 [#b0668d03]


I7、すなわち、C major scaleで、ド・ミ・ソ・♭シが出てきたときにこのコードをどう解釈するか。


本来 Iの和音 はI△7となるべきで、I7にある短七度の音(m7)は、C major scaleにはない音である。


つまりはどこかの調から借りていることになる。それが借用和音か、一時転調であるかはいまは問題としないことにする。


これがどこの調からの借り物であるかをどうやって決定するか、その考え方を書いていく。


C major scaleでX7が出てくるのは、V7(G7)だけである。そこ以外には出てこない。つまり、major scaleに対してはX7が出てくるのは、V7のみである。つまり、m7が和音に出てくるなら、これはどこかの調のV7だと考えられる。


例えば、C7であれば、これは、CのP5(完全五度)下のFから始まるmajor scale(F major scale)のV7であると考えられる。このようにX7に出くわしたら、P5下(iのP5下の調 = 下属調)のmajor scaleのV7ではないかとまず疑うのがよろしい。


I7が出てきたら下属調のV7。これをI7 = V7 of IVのように書くことがある。I7はivの音から始まるmajor scale(下属調)のV7ですよ、というわけだ。


* II7の解釈 [#y4c4d5e6]


同じ理屈により、II7もiiのP5下の調(vから始まるmajor scale)のV7、すなわちV7 of V(属調のV7)とみなすことが出来る。

II7→Vという進行があったとしたら、これは属調で見るとV7→Iという進行である。

このことから、II7は、ドミナント(V)に対するドミナント、すなわち、「セカンダリードミナント」(第二級ドミナント、二番目のドミナント)と呼ばれる。

※ このあと説明するドミナント以外に対するドミナントも、ドミナントモーションを引き起こすので、これらも「セカンダリードミナント」と呼びます。典型的には、II7がセカンダリードミナントの代表格とされるので、これ以外はおまけ的な存在ですが…。

* III7の解釈 [#xd72c6a2]

III7もiiiのP5下であるviから始まるmajor scaleのV7とみなすことが出来る。すなわち、V7 of VIである。しかし、viから始まるmajor scaleは、現在の調の近親調にはない。属調の属調の属調なので、あえて書くならV7 of V of V of Vとも書けるが、これは近親調とは言わない。

だから、これは平行短調(viから始まるminor scale)のV7と解釈するのが普通である。

* IV7の解釈 [#x3b796f0]


IV7もV7 of ♭VIIであり、これは下属調の下属調のV7であるからV7 of IV of IVのように書ける。ここが近親調であるかは難しいところだが、とりあえず近親調であると解釈しておく。


この和音はドミナントモーションで♭VII(♭VII△7)に行くわけだが、これがまさにナポリの和音なので、ナポリの和音に対するセカンダリードミナントとみなすことも出来る。ナポリの和音については後述。


* V7の解釈 [#u19e06dc]

これは言うまでもない。借用ではない。

* VI7の解釈 [#o913ece7]

属調の属調のV7。VI7 = V7 of  V of V。ここは近親調ではないが、II7が比較的使いやすい和音であるため、これに対してドミナントモーションを行なうための和音としてよく出てくる。 セカンダリードミナントに対するドミナント。

* VII7の解釈 [#c362c3dc]

属調の属調の属調の属調のV7。ここも近親調ではない。平行短調のIIφがメジャー化した和音だと解釈するのが普通である。つまり、平行短調におけるセカンダリードミナントであると解釈する。

* まとめ その1 [#cd2e6add]

- I7 = V7 of IV(下属調におけるV7)
- II7 = V7 of V(属調におけるV7)
- I7 = V7 of IV(下属調におけるV7。IVに対するセカンダリードミナント)
- II7 = V7 of V(属調におけるV7。V7に対するセカンダリードミナント)
- III7 = V7 of vi(並行短調におけるV7)
- IV7 = V7 of IV of IV(下属調の下属調におけるV7)
- IV7 = V7 of IV of IV(下属調の下属調におけるV7。あるいは後述するナポリの和音に対するセカンダリードミナント)
- V7 = V7(そのまま)
- VI7 = V7 of V of V(属調の属調におけるV7)
- VII7 = V7 of V of vi(平行短調におけるVに対するV7)
- VI7 = V7 of V of V(属調の属調におけるV7。IIやII7、IImに対するセカンダリードミナントとして用いられる)
- VII7 = V7 of V of vi(平行短調におけるVに対するセカンダリードミナント。あるいは後述するドリアの和音)

* それ以外のV7に対する考え方 [#j070ccb2]

以上でI,II,III,IV,V,VI,VIIに対する7thコードの解釈が終わった。

♭がつく、♭VII7とかどう解釈するの?って話になるのだが、まずさきほどの表で、長調のほうは、属調の属調、下属調の下属調のように、2つ離れた調までは出揃った。

すなわち、長調として解釈すると近親調ではないことになってしまうので、そこから借用しているとは考えにくい。ゆえに、これらは平行短調がらみであるか裏コードであると考えるのが自然である。

平行短調のほうは属調の属調、下属調の下属調が出ていない。vi minor scaleの属調の属調はvii minor scaleでこのV7は♭V7であり、これはあとで出てくる。vi minor scaleの下属調の下属調は、v minor scaleで、これのV7はII7になり、これは既出である。

* II7がセカンダリードミナントではないケース [#ned5a448]

II7→Vと進行するならII7 = V7 of Vだと解釈してセカンダリードミナントだと言うことが出来る。しかし、II7→III7と進行するならどうだろうか。

III7は先にも書いたように平行短調のV7である。ということはII7は平行短調のIVm7がメジャーの和音化したものであるということが出来る。これはドミナントモーションのために必要なのではなく、単に響きが美しいから使っておけ、みたいな感じ(なのだと思う)

このII、もしくはII7(平行短調のIV7)は、ドリアのIVと呼ばれる。

この「ドリア」(Doria)は古代ギリシャの部族名らしい。教会旋法のドリアンモードのドリアであり、X dorian scaleではminor scaleからすると6度が半音上がるので(major scaleからすると3度、7度が半音下がる)、この和音のように「minor scaleで6度が半音上がっているのはdorian scaleを使っているからだ」と解釈し、ドリアのIVという名前がついているわけである。

* ♭VII7の解釈 [#bebcecf0]

まず♭VII7ではなく、♭VIIの説明からする。

♭VIIは和声学では平行短調のIIφのrootが下方変位(要するに半音下がった)したものだとみなされる。

これの第一転回形をナポリ音派が好んで使ったことからナポリの6(第一転回形だと最低音と最高音の間が6度となるため)と呼ばれている。Napoli はイタリアの都市名である。

[[ナポリの六度 - Wikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%81%AE%E5%85%AD%E5%BA%A6]]

ただし、ナポリの和音では4和音化するときに♭VII△7となる。M7でないとスケール音ではないからである。

このため、♭VII7は、普通はナポリの和音とはみなさない。

V7のトライトーン・サブスティテューション(いわゆる裏コード)と解釈されることが多い。裏コードについては次に書く。

* 裏コードとは? [#w1219135]

♭II7は、iv音とvii音を持っている。これはV7のトライトーンと同じである。だからV7の代わりになるだろう、という適当さで用いられるのが裏コードである。

X7のrootをトライトーン離れたところに変更した7th chordが裏コードに当たる。

例
- ♭D7の裏コードはG7
- E7の裏コードはB♭7
- F7の裏コードはB7
- ♭II7の裏コードはV7
逆に、裏コードの裏コードは元のコードである。
- G7の裏コードは♭D7

また、IIm→V7→Iという進行をIIm→♭II7→Iに変更するとベース・ラインの半音下降形が作れる。(これ以外の用法で♭II7を使うことはほとんどない)

よって、♭VII7は平行短調の♭II7であるから平行短調のV7の裏コードである。

* ♭II7の解釈 [#r9050645]

もうすでに出た。V7の裏コードである。

* ♭III7の解釈 [#t4fdd57b]

VI7の裏コードである。

* ♭VIの解釈 [#va56cad0]

II7の裏コードである。

* ♭V7の解釈 [#w2d8662d]

I7の裏コードである。

あるいは、平行短調の下属調の下属調のV7。V7 of  IV of IV of vi。
長調でのVI7→II7→V7→Iは短調だと♭V7→♭VII7→III7→VIm。

* まとめ その2 [#z945aa44]

- ♭II7 = V7の裏コード。頻出。
- ♭III7 = VI7の裏コード
- ♭V7 = I7の裏コード
- ♭VI7 = II7の裏コード
- ♭VII7 = III7(短調のV7)の裏コード。頻出。ただし、♭VIIだとナポリの和音かも知れないので注意。

裏コードなので長調・短調のV7の裏コードが一番使える。あとは…ぼちぼち。

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