* メロディに働く重力 [#m09c7eb7]

ここではメロディに働く重力について考えみよう。メロディはこういう力を受けるというものを重力と呼んでいる。

* 自然なことは良いことではない [#x8d8e2db]

自然であることが良い音楽とは限らない。その自然さに対して抗いつづけるのもまた音楽である。

そもそも自然な状態が良いと言うなら、音なんて全くない状態が自然なのである。しかしそれでは音楽とは言いがたい。

例えば、メロディラインとして何が自然であるかを知っているなら、メロディラインは自然な進行にして、和音だけやや強引な進行にすることができる。そうすることで和音進行が不自然であることの違和感がやわらぐのだ。

このように音楽を構成していくとき、何が自然であるかを知っていることはとても重要なことなのである。

* 落下する力 [#gd64e27d]

高い音は下に落ちようとする。低い位置に戻ろうとする。高い声を張り上げ続けるのが辛いのと同じで、高い音は落下するのが自然である。

もちろん、自然であることが良い音楽とは限らない。その自然さに対して抗いつづけるのもまた音楽である。
そもそも自然な状態が良いと言うなら、音なんて全くない状態が自然なのである。しかしそれでは音楽とは言いがたい。

* 反復する力 [#d5d5351d]

「ドレミー」というメロディが一度来たら、これを反復したり、「ドレミレー」と末尾を変化させたりして前のメロディを踏襲していくと自然である。

メロディのほうで自然な進行をさせつつ、和音を強引に動かす(音楽理論的には無理だと言われているような進行を使う)のもアリである。メロディと和音の進行の両方が不自然であれば違和感があるが、メロディがすごく自然であれば、和音の進行がすごく不自然でも釣り合いは取れて、そこまで違和感がないからである。
逆に同じメロディが繰り返されるとき、人間は何か変化が欲しくなるので3度目ぐらいの繰り返しで何らかの変化を要求するのが人間である。(そういう重力が働くと思って良い)

また、同様の理屈で同じリズムが反復されるのを期待するというのもあるが、どこかでその反復から抜け出したい気分にもなる。ただし、これはメロディの反復ほどは不快ではないのでずっと同じリズムユニットのまま一曲終わることも多々ある。

* 現在のスケールから受ける重力 [#yf5086ae]

特に導音。これは半音上の主音に解決したがる。そういう重力があると言っても良い。11thも半音下がってM3に解決しようとする。近くにある、低次の自然倍音に解決しようとする。そういう力を受ける。

* 現在の和音から受ける重力 [#u7ee939c]

現在の和音の方向にも引っ張られる。和音のコードトーンに解決しようとする。
メロディは現在の和音の方向にも引っ張られる。和音のコードトーンに解決しようとする。

* 重力の強さ [#q8d97002]

受ける重力の強さは、時間に比例する。例えば、C major scaleでCM7に対するファの音はアボイドノートであるが、このファの演奏時間が長ければ長いほど受ける重力は強くなる。短い演奏時間であれば不自然には聴こえない。

* その他 [#wb42f335]

メロディ以外の話も含まれるが、その他の重力として次のようなものが考えられる。

- メロディは跳躍後、跳躍した方向と反対方向に移動したがる。
- 2つの声部があると反対方向に進みたがる。
- ベースラインは半音下降したがる。次いで、完全4度上に進行したがる。

など枚挙いとまがない。

いま構成されている曲がどんな力を受けて作られたメロディなのか、コード進行なのかなどについて考えると意義深い。

* 調と和音の両方から重力を受けるということは? [#ja7aea06]

C major scaleの曲があったとして、いまメロディがミだとする。現在の和音がG7だとする。このミは、G7にとって13thである。メロディが現在の和音の何番目の音であるかを考えることによって、和音に対してどのようなメロディがマッチするのかが感覚として身につくようになるので、このような訓練は必須である。

C major scaleにとってミが3番目の音(ドレミファソラシの3つ目)であると同時に、G7にとっての13th(6番目)の音である。先にも書いたように、メロディはC major scaleの重力と、現在の和音G7に対する重力の両方に引っ張られる。(他にも様々な重力が働くが、それについてはいまは考えないものとする)

例えば、FM7という和音があったとして、C major scaleから見るとこの和音はIVM7であるが、F major scaleから見るとこの和音はIM7である。そうなってくると、同じFM7ではあるが、現在の調がC major scaleであるかF major scaleであるかによって良いメロディラインが変わってくる。それは、メロディラインに対してC/F major scaleからの重力が作用するからだし、別の言い方をすれば、IM7のメロディらしいメロディ、IVM7のメロディらしいメロディというものがある。

機能和声では、I,IV,Vに対して勝手に役割を押し付けている。Iは静的、Vは動的であるだとか、IVが女性的、Vが男性的であるだとか、そういうイメージを前提に音楽が成り立っている。そう考えたときに、Vが来ているなら男性的なメロディ、IVが来ているなら女性的なメロディというようにI,IV,Vのどの和音であるかによってメロディラインが変わってくるのは自然である。

話を戻す。

G7のコードトーンは、Gミクソリディアン上の音であり、Gミクソリディアンスケールを想起できなければならない。このとき、マザースケールであるC major scaleを思い浮かべたあとその5番目の音から始まるスケールだとする方法と、G major scaleを思い浮かべたあと、ミクソリディアン化するためにその7番目の音を♭(フラット)させる方法とがある。→[[モードの考え方]]

これはどちらも出来なければならないが、前者であれば現在の調とマザースケールが一致することが多いので同時に複数の調を考えなくて良いので少し楽ではある。しかし、借用和音などではそのマザースケールが現在の調とは一致しないので、そういう意味では後者の考え方をしているほうがどんな和音にも対応できるという意味がある。

ともかく、現在の和音のスケール(G7に対するGミクソリディアン)の何番目の音であるかという観点でメロディを捉える訓練は有用であるとだけいまは書いておく。

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